
県指定重要無形民俗文化財に指定されている「郷原漆器」。漆塗りの工程に欠かせない、漆を木から採取する「漆掻き」が、真庭市蒜山上福田の漆植栽地で行われている。
中国産漆が大量に使われている現在、日本産漆は大変希少。郷原漆器生産振興会では、約700本が植えられた漆林(2万4千u)を管理し、今も日本産漆を守り続けている。
会員の石賀英明さん(67)=蒜山東茅部=は、今年も7月から作業をスタート。採取に適している樹齢20年ほどの漆の木に、刃物で5_ほどの溝を彫り、じわりとにじみ出てきた乳白色の漆液をヘラを使って掻き取る。3日ほど間隔をあけて次の溝を彫り、採取を続ける。
9月中旬頃まで行われ、今期は12本の木から約2`の漆を収穫する予定にしている。
「漆の木にも樹液が出やすいものと出にくいものがある」と石賀さん。採取に適した木を増やすため、昨年から根の先端部分を切り取って、別の場所で良質な木を増やす活動も行っている。
5月と9月には、下草刈りも行い、漆の木が育つ環境を支えている石賀さんは、「文化財の修復など日本漆が必要とされる事は多い。今後もこの漆林を大切に守っていきたい」と話していた。