
美甘地域の食材を加工・販売する「株式会社しげや」(真庭市美甘、笹尾充社長)は、清流に生息する魚「アマゴ」の卵を醤油漬けにした「ゴールドキャビア」を、10月中旬から販売している。
一般的にサケの卵「イクラ」が流通のほとんどを占めているが、同社は5年前、アマゴを使った商品を独自開発し、販売を始めた。
年間を通じて冷たい水が豊富に流れる真庭市美甘・鉄山地区の鉄山川。その最上流の清流を利用した養魚場で、2年かけて育成したアマゴを使用する。
今年も10月上旬に産卵時期を迎えた35〜40pの成魚を110尾仕入れ、約27sの卵を採卵した。
熱湯殺菌処理した卵は、醤油と酒、みりんを使い独自の調合で味付し、一晩漬け込み翌日、容器に入れ密封。品質を保つため、マイナス40度に急速冷凍する。
イクラに比べて卵のサイズは少し小さいが、口の中でプチプチとはじける食感と旨味が強いのが特徴。賞味期限は1年間で、瓶(50c入り)2000円、密封ケース(150c入り)3000円(いずれも税別)で販売している。また、市のふるさと納税の返礼品にも登録されている。
商品化は、笹尾社長が同所で経営する老舗割烹旅館「しげや旅館」の「丼ぶりご飯」がきっかけ。炊きたてご飯の上にアマゴの卵、きざみ海苔、ウドの佃煮、うずらの卵を乗せて提供したところ、客から「持って帰りたい」「お土産にほしい」と要望が相次いだ。
旅館は先代が明治時代に出雲街道の宿場町に創業。充社長も跡継ぎとして高校卒業後は、岡山市内の料亭で3年間修行した。平成5年の退職まで金融機関に勤めるかたわら、週末には旅館を手伝い、先代の味を引き継いだ。
現在、宿泊は受けていないが、今も東京や大阪、岡山市内から料理目当てに訪れる客が多く、アマゴや鯉の魚料理のほか、春は山菜、秋はキノコ料理でもてなす。
笹尾社長(83)は「アマゴの卵はとても貴重で、食べたことのない人がまだ多い。コロナの影響で外出できないことが増えたが、取り寄せて自宅で召し上がってほしい」と話す。
11月にはニジマスの卵を醤油漬けした商品「レッドキャビア」の製造・販売も行う。
問い合わせは、株式会社しげや(0867−56−2019)まで。